
ができないかと思う。学校は学校、青年の家は青年の家として青少年の教育を捉えるのではなく、青年の教育に必要なことを洗い出して、それぞれの良さをもって役割分担できるならば、もっと豊かな教育になるように思う。
そうした方向に向かって青年の家を捉えた時、私は青年の家に次のようなことを期待したい。1つは、より広い視野で人間教育の視点に立って、地域や生活、文化、人生をテーマとしたプログラムの開発を行うことである。自分たちが生活している地域の課題を捉えて、みずからそこに係わっていくこと、あるいは、様々な人と触れ合うことで視野を広げ、人生の豊かさを知っていくことなど、楽しく夢のあるプログラムがいろいろ考えられるのではないか。学校での勉強とは違った学ぶ世界がそこにはあるはずである。青年という人生いかに生くべきかと悩む時期にもっと広い視野に触れさせてあげたいと思うし、自分たちがどのような社会を作り上げていきたいかも考えて欲しい。また、これからの国際社会を考えれば様々な文化に触れることも大切であろう。
昨年、視察する機会を得た神戸市の女性教育センターで行われていた男女共同参画セミナーでは高校生、大学生、家庭の主婦などさまざまな世代の人が男性、女性という役割意識に捉われずに生きていくことについてさまざまな分野の講師陣と共に学びあっていた。このセミナーは文部省の婦人教育課の委嘱事業として行われているものであるが、これからの社会を考える上では青年の家でも扱っていくプログラムであると思った。
■多様な講師陣で青年の家の魅力アップ
次に期待するのはそうしたプログラム開発に欠かせない講師やリーダーとなる人の人選である。青年の家の良さには教師と生徒という構図から離れて学ぶことのできる世界がある。教師を媒介として対象と向きあうのではなく、本物と直に向き合うことを青年の家ではどんどんやって欲しいと思う。那須甲子の少年自然の家で地元の人がわらじ作りなどを子供達に指導していたが、地域で働く様々な人との交流も是非行って欲しい。また、民間企業の中にも様々なプロフェッショナルがいるはずである。例えば、百貨店で呉服の販売一筋に仕事をしてきた人、ホテルのドアマンのプロなど若い人がサラリーマンを表面的に捉えているのとは随分と違った人生がある。やはり、実際に体験している人と触れあうことから啓発されるものは大きく、講師陣の多様性は学校教育にない魅力となるはずである。同じような環境の人の中でとかく狭い見方になりがちな青年にとっては、我いかに生くべきかという難問と立ち向かう上では大きな力になるように思う。是非、人的ネットワークを広げて青年の家の魅力を高めて欲しい。その為には、当然ながら青年の家の関係者が地域の中の学校、企業、ボランティア活動団体などへどんどん出ていき情報収集を行うことが欠かせないであろう。
また、余談となるがこうしたプログラムに講師やリーダーとして参加する人にとってもこれは生涯学習の絶好のチャンスであり、人生を豊かにする一助になるはずである。例えば、民間企業のサラリーマンにとっては、地域の青年との関わりを通して仕事社会とは違った新しい世
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